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Raspberry Pi 活用の基礎


 Raspberry Pi(ラズベリー パイ)は、ARMプロセッサを搭載したシングルボードコンピュータのことです。イギリスのラズベリーパイ財団によって開発された。もともと、子供達向けの教育で利用されることを想定して制作された。2010年代後半以降は、安価に入手できるシングルボードコンピュータとして趣味や業務等のIoT部品としても用いられれるようになった。IoTにおいては、ソフトウェア開発に強いRaspberry Piと、ハードウェア開発に強いArduinoとを組み合わせて使用する様になってきた。

 Raspberry Piは内蔵ハードディスクやソリッドステートドライブを搭載しないので、microSDメモリーカードをOSおよび長期保存用のストレージに利用します。したがって、OSもこのmicroSDメモリーカードにインストールします。この作業が若干煩雑です。

 現時点で、Rasberry PiのOSとして主にインストールされているものは、Rasberry Pi OS と Ubuntu の2種類だと思われます。いずれの OS も Linux 系の Debian パッケージです。市販されている Raspberry Pi 4 (Model B)のスターターキットは Raspberry Pi OS がインストールされた micro SD が含まれていると思います。この Raspberry Pi OS の内容は Debian Bullseye になっているはずです。

 このページでは、OSとしてRaspberry OS Legacy(Debian Buster) 及び Debian Bullseye をインストールする方法を説明します。初めて Raspberry Pi にOSをインストールときは、Ubuntu バージョンよりもRaspberry Pi OS をインストールする方が操作が簡単でしょう。Ubuntu をインストールする時の操作方法については、Ubuntu 16.04のインストールのページに説明してあります。使用するPCはMacですが、LinuxやWindowsでもターミナルでのコマンドが少し異なりますが、基本的には手続き方法は同一だと思います。Raspberry Pi OS は Linux のDebian パッケージですので、 OS の操作は Linux Ubuntu と同じで、Linux コマンドの基礎知識が必要です。Linux OS の操作についての簡単な説明は Linux OS 入門のページにあります。

 Raspberry Pi OS のインストール方法を説明したのち、Raspberry Pi をIoT端末として活用(edge computing)するために必要なssh接続、VNCViewerによるリモートアクセスの方法及びPC本体とのファイル共有について説明します。公式ページにある (英文の)Documentation が参考になります。

Last updated: 2022.1.15(2018年1月21日初版)



Raspberry Pi OS(Debian Bullseye) のインストールと起動: Raspberry Pi 4 (Model B) のケース



raspberry-pi-4.png
Raspberry Pi 4(Model B)

2019年6月24日にRaspberry Pi 4 Model B が発売開始されました。Raspberry Pi 4 では、HDMI が micro HDMI に、2個のUSB2ポートがUSB3にアップグレードされ、メモリが2-8ギガに拡大されています。基本的な特徴は Raspberry Pi 3 から変化していません。Raspberry Pi 4(Model B)の構成と機能は以下の通りです。

 Raspberry Piを作動させるためには、電源用USB-microCケーブル、モニター(TV)との接続用 microHDMIーHDMIケーブル、USB接続のキーボードとマウス、OSがインストールされたmicroSDカードが必要です。Raspberry Piにはハードディスクが内蔵されていないので、microSDカードにOSをインストールして用います。

 micro SDカードへのRaspberry Pi OS のインストールの方法を説明します。推奨されている方法は、PCのブラウザを開いて、公式ホームページからRaspberry Pi Imager を最初にダウンロードして、この Imager をPCにインストールする、その後に、この Imager を起動して Raspberry Pi OS 本体をSD カードに書き込むという方法です。また、別の方法としては、Manually install an operating system image という手順で、Operating system image(Download zipファイル)を PC にダウンロードし、これを解凍して、SDカードにコピーするという方法もあります。Raspberry Pi OS のサイズは約1.1GBあるので、いずれの方法でも、ダウンロードに相当時間がかります。1時間かかる場合もあります。

 Raspberry Pi Imager をダウンロードしたときは、この Imager を起動して、SDカードに書き込みます。Mac にインストールした Raspberry Pi Imager を起動して、operating system で RASPBERRY PI OS (64 bit Bullseye) を選択します。 storage では、書き込み先の microSD カードを選択し、書き込みを始めます。bullseyeとDebian Busterとの違いは、GKT+3が梱包されたことで、デスクトップ画面が見やすくなったことです。詳細な説明は このサイトを読んでください。

raspi_imager.png
Raspberry Pi Imager

 Raspberry Imagerを使用しないときに、Raspberry Pi OS をインストールする方法を説明します。http://downloads.raspberrypi.org/raspios_arm64から「2021-10-30-raspios-bullseye-arm64.zip」ファイルをダウンロードします。約1ギガあるので、ダウンロードするのに30分程度かかります。解凍すると、img ファイルになります。 解凍した 「2021-10-30-raspios-bullseye-arm64.img」 を書き込み先の microSD カードにコピーします。64ビット版の Raspberry Pi OS (Bullseye) がインストールされた micro SD カードが作成できます。なお、2022年1月末に、Raspberry Pi Imager の「Choose OS」内で64ビット版OSが選択できるようになりました。


Raspberry Pi OS (Legacy: Debian Buster) のインストールと起動: Raspberry Pi 3 (Model B) のケース


raspi3model.jpeg
Raspberry Pi 3(Model B+)


2019年6月24日にRaspberry Pi 4 Model B が発売開始されましたが、ここでは、Raspberry Pi 3(Model B) を説明します。基本的な特徴は共通します。Raspberry Pi 3(Model B)の構成と機能は以下の通りです。

 Raspberry Piを作動させるためには、電源用USB-microBケーブル、モニター(TV)との接続用 HDMIケーブル、USB接続のキーボードとマウス、OSがインストールされたmicroSDカードが必要です。Raspberry Piにはハードディスクが内蔵されていないので、microSDカードにOSをインストールして用います。

 micro SDカードへのRaspberry Pi OS (Legacy) のインストールの方法を説明します。PCのブラウザを開いて、Raspberry Pi用のOSを公式ホームページからダウンロードする。推奨されている方法は、Raspberry Pi Imager を最初にダウンロードして、この Imager をPCにインストールする、その後に、この Imager を起動して Raspberry Pi OS 本体をSD カードに書き込むという方法です。この節では、別の方法として、Manually install an operating system image という手順で、Operating system image(Download zipファイル)を PC にダウンロードし、これを解凍して、SDカードにコピーするという方法を説明します。Raspberry Pi OS のサイズは約1.6GBあるので、ダウンロードに相当時間がかります。1〜2時間かかる場合もあります。

 使用するmicroSDに古いOS等が残っている場合、SD Associationが配布しているSDフォマッター4.0でFAT32にフォーマットする必要があります。 SD Association’s websiteから SD Formatter 4.0 をダウンロードします。micro SD をPCに挿して


$ diskutil list

と入力すると、micro SD のデバイス名がわかります。多分、/dev/disk2/ となっていると思います。SD Formatterを起動して、 この/dev/disk2/ を指定して、フォーマットします。または、Mac標準のDisk Utilityを起動し、認識されたSDカードを選択し、消去(Erase)をクリックします。フォーマット後の名前を入力し、MS-DOS(FAT)でフォーマットします。

 フォーマットが完了したら、SDカードにイメージをコピーするためにディスクをアンマウントします。diskutilでSDカードをアンマウントします。/dev/disk2で認識されている時、


$ diskutil unmountDisk /dev/disk2


と入力する。

Unmount of all volumes on disk2 was successful

と表示されれば成功です。

 Raspberry Pi用のOSを公式ホームページにあるManually install an operating system imageの「See all download options」から「Raspberry Pi OS (Legacy) with desktop」を選択します。このzipファイルをダウンロードします。zipファイルを展開してできた全てのファイルをmicroSDカードにコピーします。デバイス名を間違えるとMacの本体データを壊すので気をつけましょう。デバイス名にrを付けて/dev/rdisk2/にすると10倍速くコピーできます。さらに、bs=1mオプションを付けると10倍速くコピーできます。ddコマンドはそのままだと進捗が見えなくて不安になるので、定期的にCtrl + Tでコピーの進捗を確認できます。dd コマンドが機能しないときは、展開してできたすべてのファイルを選択して、micro SDにコピーするだけです。


$ dd if=/2021-12-02-raspios-buster-armhf/*  of=/dev/disk2/* bs=1m

 Raspberry Pi 3のメモリが1GBなので、インストールするOSは32bitのものが望ましいと思われます。


Raspberry Piの起動と操作方法


 microSD カードを用いて、以下の手順で最初のbootをおこないます。

  1. OS 書き込み済みのmicroSDカードを、Raspberry Pi のSDカードスロットに挿入する。
  2. USB接続キーボードとUSB接続マウスをRaspberry Pi のUSB端子に接続する。
  3. モニタケーブルをRaspberry Pi のHDMI端子(micro HDMI端子のHDMI0)に接続する。モニターはTVで代替可能。
  4. USB充電器をRaspberry Pi のmicro USB端子に接続する。
  5. 最後に、USB充電器を電源コンセントに接続し、Raspberry Pi を起動させる。

 Raspberry Piに電源を入れると、最初にインストールのためのデスクトップ画面が表示されます。この画面上でインストール開始の前にいくつかの選択をします。この画面でインストールするOSとしてRaspberry PI OS(一番上に配置)を選択をし、国を日本、言語を日本語に、地域でTokyoを選択し、次に、WiFiの設定をしてからインストールを開始します。30分程度経過するとインストールが終わり、ログインのためのパスワードの設定が要求されます。

 デフォルトでは、ユーザー名は pi になります。ログインすると、Raspberry Pi OSのデスクトップが表示されます。画面は日本語表示になっているでしょう。各種設定は左上端にあるラズベリーの絵(メニューバー)をクリックして表示されるウインドウの「設定(Preferences)」の項目で行います。「設定」をクリックして、RaspberryPiの設定の[interface]画面を開いて ssh, vnc, webiopiなどの作動を「有効」にします。これらの設定をしておくと、リモートPCで操作することができます。なお、リモート接続のために、IPアドレスが必要なので、メニューにあるLXターミナルをクリックして開いて


$ ifconfig

 と入力します。wlan0 の欄にIPアドレスが表示されます。

wlan0: flags=4163  mtu 1500
        inet 192.168.xx.xx  netmask 255.255.255.0  broadcast 192.168.11.255
        inet6 fe80::8372:c417:952b:c91  prefixlen 64  scopeid 0x20

 最新のOSなどにアップデートするために、LXTerminalで


$ sudo apt update 
$ sudo apt upgrade

を実行してください。「apt-get」 は最新では「apt」になっています。Raspiで使用されるほとんどのコマンドはLinux系のコマンドになっています。

 Raspberry Piのシャットダウンは、左上端にあるラズベリーの絵(メニューバー)をクリックすると表示されるポップアップ上の「shutdown」を選択する。

 日本語入力mozcをインストールしたいときは


$ sudo apt install ibus-mozc

とコマンド入力します。

raspilcd.jpg
 Raspberry Piの基本的セットアップです。LCDにデスクトップが表示がされています。
このLCDで表示するためには当該ソフトウエアのインストールが必要です。WiFiが有効になっていれば、PCからリモートで操作できるので必要ないかもしれません。

 テキスト・ファイルを作成するためのテキスト・エディターが必要です。Raspberry Piにインストールできるエディターは、nano, leafpad, gedit, Vimなどです。leafpadなどはデフォルトでインストールされています。Viは多様な機能紙を持っていますが、相当の慣れが必要です。好みのエディターが必要な時は、インストールしましょう。例えば、簡易なnanoやgeditをインストールする時は


$ sudo apt install nano
$ sudo apt install gedit

とします。gedit が最もシンプルです。


リモートPCからRaspberryPiを操作する方法


 無線LANへの接続を設定しているとします。Raspberry Piに接続したディスプレイのデスクトップで「Raspberry Piの設定」で ssh と VNC をEnable(有効)に設定していることを前提にします。

 RaspberyPIのIPアドレスをコマンドプロンプトで調べたいときは、ターミナルでifconfigと入力すると、ネットワークデバイスの情報が表示されるので、wlan0という項目で、192.168.11.5.のように表示されいるIPアドレスを使う。また、RaspberryPiのIPアドレスを調べるには、RaspberryPiのモニター上にあるWiFi表示にマウスを重ねると、表示される。例えば wlan0: Configured 192.168.11.5/24 と表示されます。

 sshによるリモートログイン方法は、ユーザー名がpiなので、PCのterminalで、


$ ssh pi@192.168.11.5

と入力する。デフォルトでpasswordはraspberryです。パスワードを変更したいときは、デスクトップのメニューの「Raspberry Pi の設定」でパスワードの変更をします。

 ターミナルでのRaspberry Piのシャットダウン方法は


$ sudo shutdown -h now


と入力します。現在、このコマンドを打つと、PCのターミナルが作動しなくなりますので、注意です。


 PCのデスクトップにRaspberryPiのデスクトップ画面を表示させて操作する方法を説明します。

 Raspberry Pi にはdefaultでVNCはインストールされているので、「RaspberryPiの設定」でVNCを有効に設定すれば、vnc server を利用できます。また、RaspberyPiのterminalで


$ sudo apt update 
$ sudo apt install realvnc-vnc-server realvnc-vnc-viewer


 と入力すると、最新バージョンへのアップデートができます。


 次に、使用するPCにrealvnc.comの公式サイトからrealVNCViewerをダウンロードします。

 PCの VNCViewer を起動すると、デスクトップにVNCviewerのウインドウが開きます。PCのデスクトップに表示されるポップアップ画面内でRaspberry PiのIPアドレスと名称を入力し、次に、パスワードを入力する画面がポップアップしますので、Raspberry Pi のパスワードを入力すると、Raspberry Piのデスクトップが以下のように表示されます。PCのデスクトップ画面と同じ要領で操作します。


raspivnc.JPG
VNCViewerを利用してRaspberry PiのデスクトップをMac PCのデスクトップ画面に表示


PC と Raspbery Pi の間のファイル共有


 SSHでRaspberry PiとPCの間でファイル共有を可能にするためには、mac OS の場合には若干手数がかかります。FUSE for macOSというソフトをインストールする必要があります。

 FUSE for macOSのページから、「FUSE for macOS」および「SSHFS」をダウンロードします。前者がMacで標準対応していないファイルシステムを扱う枠組みを提供し、後者が実際にSSHをつかってファイルをやり取りするためのソフトです。

 FUSE for macOSのインストールでは、サードパーティー製のソフトなので、個別に許可する必要があります。FUSE for macOS をインストールする最後に、このソフトに対するアプリケーション実行の許可を認証する要求が表示されます。「セキュリティ環境設定を開く」をクリックし、ダウンロードしたアプリケーション実行の「許可」をクリックします。これをしないとインストールできません。

 次に、ダウンロードしたもう一つのSSHFSをインストールします。pkgファイルを開くとインストーラーが起動します。使用許諾に同意する場合は「同意する」をクリックして進めます。

 最後に、Raspberry Piのディレクトリを参照できるようにします。ソフトの環境が整ったので、Raspberry PiのディレクトリをMac上のFinderやターミナルから見られるようにしてみましょう。まずRaspberry Piのディレクトリをマウントする場所を用意しておく必要があります。ホームに「macfuse」という名前のディレクトリを作成します。マウントするには、ターミナルから以下の形式のコマンドを実行します。


$ sshfs pi@192.168.1.8:/home/pi ~/macfuse

finderを開くと、ユーザーのホームに「macFUSE Volume 0 (sshfs)」というディレクトリが作成されています。

 マウントを解除するには、umountコマンドを使用します。


$ umount macfuse



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